定年退職後は、「これからは自由に好きなことができる」といった解放感とともに、新たな悩みと不安が生まれます。
セカンドライフを豊かなものにするためには、この悩みと不安にどう向き合って行くかがポイントになります。
定年退職後の悩みと不安
定年退職後の生活環境は、現役時代とは大きく変わります。
多くのシニアの方は、多かれ少なかれ次のような悩みと不安を抱えています。
経済的な不安
経済的な基盤がしっかりしていると、老後の生活も安定してきます。
しかし、定年退職後に仕事による収入がなくなると、多くのシニアの方は年金収入に頼らざるを得なくなり、今後は年金収入だけで生活できるのだろうかという不安が生まれます。
ある程度の貯蓄があれば、取り崩して生活費の不足分に当てることもできますが、年々貯蓄が減っていくというのも不安でしかありません。
また、病気入院や家のリフォームが必要になったりするなど、思いがけずまとまった支払いが発生することもあります。
生きがいがない
仕事に追われている現役時代は働くことが生きがいにもつながっていましたが、定年退職になり働く必要がなくなると、急激に生きる張り合いを失ってしまうということがあります。
仕事一筋に頑張って来た方ほど、いわゆる「燃え尽き症候群」のような状態になってしまい、朝起きても何をしていいかわからず、ただぼんやりと1日を過ごしてしまうということになりかねません。
楽しい老後を過ごすためには、何らかの生きがいを探しておく必要があります。
健康の悩み・病気への不安
60代、70代になると、体のあちこちに何らかの老化現象が表れます。
「老眼」や「白髪」「しわ」などは、誰にでも表れる老化現象ですが、「高血圧」「高血糖」「高コレステロール」など、生活習慣病につながる症状は病気への不安に直結します。
また、「筋力の低下」や「持久力の低下」「判断力の低下」「排尿トラブル」などもシニア世代にとっては、深刻な健康の悩みと言えます。
さらに「物忘れ」が増えてくると、「認知症」になるのではないかとの不安にかられます。
住居に関する不安
老後は、どこに住むのか、誰と一緒に住むのかといった問題もシニアにとっては深刻です。
近年では1人暮らしのシニアの方も増えていますが、病気になった時や体の自由がきかなくなった時はどうすればよいかという不安があります。
夫婦ふたり暮らしの世帯や家族が同居している場合でも、どちらかの配偶者が亡くなったり、家族間のトラブルが生じたり、住宅のバリアフリー化が必要になったりと、さまざまな問題が生じて来ます。
自然豊かな地域に住んでいて「高齢になり自動車の運転免許を返納したいけど、車がなくては不便」という方や、「施設に入所したいけど、保証人がいない」といった悩みを抱えるシニアの方も増えています。
孤独への恐れ
「老後は孤独になってしまうかもしれない」という不安は、誰にでもあると言えます。
配偶者がいても、親兄弟がいても、自分が最後まで残ってしまう可能性はあるからです。また、子供や孫と同居しているという恵まれた方でも、家族間でトラブルがあったり、病気が元で施設に預けられることになったりという可能性もあります。
「老後の孤独」を避けるためには、元気なうちに何らかの対策を立てておく必要があります。
悩みや不安を解決するために
定年後の悩みや不安は、時が経てば自然に解決する場合もあれば、自分から行動しないと解決しない場合とがあります。
「経済的な不安」については、必要な生活費を算出し、節約できるところは節約して行けば解決できることもあります。
最近は、60代、70代で働いている方も珍しくなくなりましたが、生活費が不足する場合は無理のない短時間勤務などで収入を得るのも一つの方法です。
「生きがい」については、仕事以外に趣味やボランティアをやってみるなど、何でも良いので自分から行動することにより、あっさりと解決したりします。
「健康や病気に対する悩みや不安」は、何よりも日々の健康管理が大切になります。
テレビの健康関連番組をみたり、ネット上から病気に関する情報を集めるのも、不安を解消するきっかけになりますが、逆に余計に不安になってしまうということもあるので注意してください。
「住居に関する不安」や「老後は孤独になってしまうかもしれない」といった不安の解消は、ケースバイケースにより異なるので、難しいかもしれません。
しかし、元気なうちに老後に住む場所を決めておいたり、家族や周囲とのコミュニケーションを大切にしておくことにより、不安が安心に変わることもあります。
また、家族以外に友人・知人を増やし、時々おしゃべりをしたり、一緒に趣味を楽しんだりするのも、悩みや不安の解消へとつながります。