80代になっても90代になっても元気でいられれば問題ありませんが、いつ介護が必要な状態になるかわからないのが人間です。
もし、介護が必要な状態になったらどこに住むか、またどんな生活をおくりたいか、早めに考えておきましょう。
最期まで自宅に住む
介護が必要な状態になっても、今まで通り自宅で暮らしたいという人が増えています。
子どもや孫と同居している方はもちろん、一人暮らしであっても訪問診療や訪問看護を利用したり、その他の様々な介護保険サービスを利用すれば、最期まで自宅に住むことが可能な時代になりつつあるからです。
住み慣れた家で暮らすことができれば周囲に気を遣う必要もないので、精神的な負担を最小限に抑え、穏やかな老後を過ごすことができるのが最大のメリットと言えます。
また、施設入所に比べ金銭的負担が圧倒的に少ないのも大きなメリットです。
ただし、廊下やトイレに手すりを付けたり、家の中の段差を解消するなど、一部リフォームが必要になる場合があります。
元気なうちに施設に住み替える
先々の事を考えて、元気なうちに施設に住み替えるという方法もあります。
特に、家族に負担をかけたくないという方や、一人暮らしになってしまった場合の寂しさや不安に耐えられそうもないという方におすすめです。
元気なうちに入居可能な自立型の高齢者向け住宅や施設には、次のような種類があります。
高齢者向け賃貸住宅
60歳以上の人が入居できる賃貸住宅で、それぞれの個室にはバリアフリーに対応したキッチン・バス・トイレが完備されています。
介護が必要になった場合は、提携医療機関の紹介や各種介護サービスが受けられるところが多くなっています。
シニア向け分譲マンション
高齢者のための分譲マンションで、バリアフリー化が施され、充実した生活支援サービスが受けられるほか、老後を楽しむための娯楽施設が併設されているところもあります。
物件を購入するという形になるので、購入後は所有財産として売却、譲渡、賃貸、子どもへの相続などが自由にできます。
サービス付き高齢者向け住宅
60歳以上で元気な方や要介護度がそれほど高くない方を対象とした、バリアフリー対応の賃貸住宅です。
安否確認や生活支援サービスのほか、別料金による食事の提供や外出の付き添いなどのサービスが受けられ、介護が必要になった場合は外部サービスを受ける形になります。
住宅型有料老人ホーム(自立型)
自立した生活をおくれる高齢者のための有料老人ホームで、食事や見守りなどのサービスが付いています。
介護が必要な状態になった場合は外部サービスを利用できますが、要介護度が上がるにつれて月額利用料も割高になるところが多いようです。
一般(自立)型ケアハウス
一般型ケアハウスは、自立した生活が可能な60歳以上の高齢者を対象とした軽費老人ホームのひとつです。
低料金で食事や掃除、洗濯、見守りなどの生活支援サービスが受けられ、介護が必要になった場合は外部のサービスを利用できます。
健康型有料老人ホーム
介護の必要がなく自立した生活が可能な方が入居できる施設で、食事や掃除、洗濯など生活上必要なサービスが付いています。
露天風呂やスポーツジム、シアタールームなどの娯楽設備が充実しており、楽しいシニアライフをおくれますが、入居後に介護が必要となった場合は対応が難しく、転居や退去を求められます。
介護が必要になったら施設に入る
介護が必要な状態になっても自宅で暮らせるような環境が整いつつありますが、周囲に過度な負担をかけたくないという方や、一人暮らしになってしまい毎日が不安という方は、介護が必要になったら施設に移るという選択肢もあります。
しかし、介護関連施設には次のように数多くの種類があるので、どのような所に移りたいか前もって調べておくようにしましょう。
特別養護老人ホーム
通称「特養」と呼ばれる特別養護老人ホームは、基本的に要介護3以上の高齢者が入居対象の施設で、寝たきりの人や認知症で日常生活が難しい人なども入居できます。
入居できれば終身利用が可能で、低価格でサービスを受けることができることから人気が高く、入居待ちが多い状況となっています。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、病院を退院後にすぐに在宅生活に復帰できない状態の高齢者が入所できる施設で、通称「老健」と呼ばれています。
医療ケアや身体介護を受けることができますが、在宅復帰のためのリハビリを重視しており、ほかの介護施設に比べて入所期間は短かめに設定されています。
介護医療院
介護医療院は2018年に新設された公的施設で、在宅での生活が困難な要介護状態の高齢者が、充実した医療ケアや身体介助、生活援助などが受けられます。
介護療養病床に相当するⅠ型と老人保健施設に相当するⅡ型がありますが、月々の利用料のみで看取りを見据えた長期的な入居が可能となっています。
ケアハウス(介護型)
ケアハウスは「軽費老人ホーム」の一つで、家事などの生活支援サービスが提供される一般型と、それに加え介護サービスが利用可能な介護型があります。
入居金や家賃などの費用が発生しますが、所得に応じて料金が減額される補助があるため、他の施設に比べ経済的な負担は軽くなっています。
グループホーム
グループホームは少人数で集団生活をする老人ホームで、要支援2以上かつ原則65歳以上の認知症の人が入居することができます。
洗濯や料理など自分ができることは自分で行うことで認知症の進行を緩やかにしながら、専門知識を持ったスタッフのサポートが受けられるようになっています。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは要介護状態の人を対象とした施設で、24時間介護スタッフが常駐し、食事や入浴時の介助、掃除、洗濯などの生活支援、排せつや機能訓練など、さまざまな介助サービスが受けられます。
入居費用や入居要件、サービス内容は施設により異なりますが、介護度が重くなっても「介護保険サービス」は定額で利用できるというメリットがあります。