60歳前後で起業するシニア起業は、シルバー起業、熟年起業、定年起業などとも言われますが、日本におけるシニア起業には、若い世代とは異なったいくつかの特徴があります。
日本のシニア起業の特徴
●起業の動機
日本のシニア層が起業を決意する場合、その動機となるのは「仕事の経験・知識・資格を生かしたい」「社会の役に立つ仕事がしたい」という想いによるものが多くなっています。
欧米ではすでに、事業を通して多様化する社会問題を解決しようとする「ソーシャルベンチャー」が増加していますが、日本でもさまざまなソーシャルベンチャービジネスが生まれています。
また、若い世代では「事業を通してできるだけ多くの収入を得たい」という希望を持っているのに対して、シニア世代の収入に関する意識は「家計を維持できるだけの収入があれば良い」と、いくぶん控えめです。
●開業業種
日本政策金融公庫総合研究所の、「シニア起業家の開業~2012年度新規開業実態調査」によると、シニア起業家の開業業種で最も多いのは、医療・福祉関連で22.1%となっています。次いでサービス業(17.9%)、飲食店・宿泊業(14.7%)となっています。
また、最近ではIT技術の発展に伴い、ネットを利用したスモールビジネスも増加傾向にあります。
●堅実な経営
60代、70代での起業は、失敗すればやり直しがきかないのは周知の事実です。それを熟知しているためか、シニア起業家は堅実な経営を心がける人が多いという事実もあります。
多くのシニア起業家は、住宅ローンはすでに完済しており、事業以外からの収入(年金、恩給、不動産収入など)もしっかりと確保しています。それが、余裕を持った堅実な経営を可能にしていると言えます。
●豊富な人脈と資金力
シニア起業家にとって有利なのは、長年の会社勤めによる人脈が豊富なことです。すでに顧客がついていれば、独立してすぐに売り上げを上げることも可能です。
また、起業する数年前から計画的に開業資金を貯めたり、退職金を資金に回すこともできるので、若い世代に比べ、資金力もあるという特徴があります。